TRONが市場下落に逆らい成長続ける USDT活況とドローダウン指標が示す回復力

公開日:2025年07月02日 16:22
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仮想通貨市場全体が過去24時間で2.7%下落する中、TRON(TRX)は逆に0.6%上昇し、現在の取引価格は0.2788ドルとなった。週間チャートでは2.4%の上昇を記録し、全体的に低迷する市場の中で目立つ動きを見せている。この傾向は、TRONエコシステムの深層を分析するオンチェーンアナリストの注目を集めている。

CryptoQuantアナリストDarkfost氏によれば、TRONの長期価格動向は回復力の増大と極端なボラティリティへの耐性向上を示しているという。同氏は「TRXドローダウンが示す成長する回復力」と題した分析で、TRONの構造的安定性の向上を指摘。資産価格のピークからボトムまでの下落率を測るドローダウン指標は、戦略的な市場参入ポイントを特定する信頼性の高いツールとなり得ると説明した。

Darkfost氏は2020年以降の主要なTRXドローダウン期間として、2020年3月の61%、2021年6月の70%、2022年1月の55%、2025年1月の40%下落を挙げた。これらの修正局面はいずれもその後に大きな回復を見せたが、下落幅はサイクルごとに一貫して縮小しており、これはTRONネットワークに対する投資家の信頼と資本保持が増している兆候と解釈できるという。

「現在TRXは0.27ドル前後で取引されているが、これらの下落はいずれも後から振り返ると利益をもたらす機会だった」とDarkfost氏は指摘。同氏はこの傾向が、TRONがより強固な市場ポジションを持つ安定した資産クラスへと進化していることを示唆すると付け加えた。

この安定性を支えている要因として、安定コイン取引を中心とした継続的な資本流入とエコシステムの活況がある。TRONはテザー(USDT)転送における主要レイヤーとしての地位を確立しており、CryptoQuantアナリストMaartunn氏のデータもこの見方を裏付けている。

Maartunn氏によると、TRONは2025年6月25日に1日当たり234億ドルのUSDT転送を処理し、ネットワーク史上最高記録を更新した。この数値は同日のイーサリアムの処理額99億ドルを大きく上回り、両ブロックチェーン間の差異を浮き彫りにしている。同氏は「このチャートは単なる記録以上のものを示している」と指摘、「TRONとイーサリアムの差が拡大し続けていることを強調している」と述べた。

イーサリアムのUSDT活動量が2024年11月のピークから約39%減少しているのに対し、TRONは上昇傾向を維持。この移行は、TRONがテザー取引の主要決済レイヤーとしての役割を強めている一方、イーサリアムは他のユースケースへシフトしている兆候と見ることができる。
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