暗号資産規制にらくいき違い 米コネチカット州は公的保有禁止、スイスはフィッシング対策強化

公開日:2025年07月02日 16:07
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デジタル資産をめぐり、米国とスイスの規制当局が相次いで新たな対策に乗り出した。米コネチカット州ではネッド・ラモント知事が州政府機関の暗号資産受け入れ・保有を禁止する法案に署名し、10月1日から施行される。一方スイスでは金融市場監督局(FINMA)が暗号資産取引アプリ「Yuh」の親会社スイスクォートに対し、急増するフィッシング詐欺への対策強化を命じた。

■コネチカット州が公的セクターの暗号資産関与を制限
コネチカット州議会で可決された法案「HB 7082」は、州政府が仮想通貨での支払いを受け入れることや、暗号資産準備金の設立・保有を明示的に禁止する内容。連邦政府が戦略的ビットコイン準備金構想を進める中、州レベルでこうした規制を法制化したのは全米でも先駆的な動きだ。

法案提出者のジェイソン・ドセット州議員によれば、デジタル資産が州業務に与えるリスクを考慮した判断。これに対し、テキサス州やニューハンプシャー州などでは逆に州管理の暗号資産準備金設立が進むなど、州ごとの対応に大きな開きが生じている。

■スイスでフィッシング被害が急増
スイスクォート子会社のYuhアプリを標的とした偽サイトが2025年上半年に600件以上確認され、FINMAは対策強化を指令。AIを悪用した高度化する詐欺手口が問題となっており、被害総額は同年だけで21億ドルに上る。

FINMAは金融機関に対し、内部システムの保護に加え、外部の偽装脅威への監視強化や利用者教育の充実を要求。スイスクォートのマルク・ビュアキCEOは『システム侵害はないが、利用者保護が最優先課題』とコメントした。専門家からは、ブロックチェーン技術そのものよりも社会工学的な攻撃への対処が急務との指摘が上がっている。
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