アーサー・ヘイズ氏が警告 ビットコインは次の上昇前に9万ドルまで下落か

公開日:2025年07月03日 17:11
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元BitMEX CEOのアーサー・ヘイズ氏が最新ブログ「Quid Pro Stablecoin」で、暗号資産(仮想通貨)市場に影響を与える可能性がある現在のマクロ経済状況について鋭い分析を展開した。同氏は、8月のジャクソンホール経済シンポジウムまで暗号資産価格が横ばい、あるいは小幅下落する可能性があると警告している。

■ビットコイン価格下落の要因
ヘイズ氏は近い将来において市場調整が起こり得ると指摘。現在のビットコイン価格上昇を受けて、トレーダーが利益確定するとともに、FRB(連邦準備制度理事会)からの明確なシグナルを待つ動きが想定されると述べた。特に注目すべきは、米財務省が一般勘定(TGA)の補充を開始した場合、市場から流動性が引き上げられ、暗号資産を含むリスク資産に圧力がかかる可能性だという。

過去の市場サイクルとセンチメント変化を分析したヘイズ氏は、ビットコイン価格が一時的に約9万ドルまで下落し、弱気ポジションを巻き込んだ後に次の上昇局面に入ると予測。この流動性逼迫は「夏季の低迷期」を生み出し、8月下旬のジャクソンホール開催まで横ばいまたは下落傾向が続くと警告した。マクロ環境が悪化した場合、同氏はMaelstromファンドのビットコインエクスポージャーを削減する可能性を示唆している。

■伝統的銀行とステーブルコインが次のブルランを牽引か
今サイクルの特徴としてヘイズ氏が指摘するのは、暗号資産市場における伝統的銀行の役割拡大だ。米上院が「GENIUS法」を可決したことを受け、JPモルガンなどの銀行が自社発行のドルペッグトークンを導入する可能性が高まっている。USDCやテザーと異なり、こうした銀行発行トークンは完全な規制サポートとFRBシステムへのアクセスを伴うことになる。

同氏は、ステーブルコイン推進が消費者の安全性確保だけでなく、米政府による暗号資産資金流動への統制強化戦略でもあると強調。この変化は暗号市場内の流動性移動を変え、発行者により厳格な準備金要件や特別ライセンス取得を求める可能性がある。

■暗号市場流動性のゲームチェンジャー
ヘイズ氏はこれらの動きを「ゲームチェンジャー」と評す。規制を受けた銀行発行ステーブルコインにより、銀行が小預金を短期米国債に振り向けることが可能となり、資本規制に違反せずに新たな量的緩和の役割を果たすと説明。FRBの公式介入なしに市場へ新鮮な流動性を注入する仕組みだ。

現在米銀行情座にある17兆ドルの一部でもこれらの新ステーブルコインに流入すれば、6.8兆ドル規模の米国債需要が生まれるとヘイズ氏は試算。この莫大な流動性は債権市場に留まらず、暗号資産やテクノロジー株へ波及し、次の主要なブルマーケットを引き起こす可能性があるという。

【市場概況】
2025年7月3日現在、暗号資産市場は様々な動きを見せている。ビットコインは10万7千ドル前後で安定し、10万ドル割れからの回復基調だ。イーサリアムは2600USDTまで上昇し、XRPやソラナ、TRONなどのアルトコインも比較的強い値動きを示している。ヘイズ氏が予測する「夏季の低迷期」説にもかかわらず、市場にある程度の回復力が確認されている。
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