リップルの挑戦:スタンダード・カストディ買収で米連邦準備制度のマスターアカウント取得を目指す

公開日:2025年07月03日 20:34
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仮想通貨XRPを開発するリップル社が、伝統的な銀行システムとの統合に向けた大きな一歩を踏み出した。同社は戦略的買収を行ったスタンダード・カストディ&トラスト社を通じて、米連邦準備制度(FRB)のマスターアカウント取得を正式に申請。これは米通貨監督局(OCC)のトラストチャーター申請と並行する野心的な取り組みで、リップルがグローバル金融における正当なプレイヤーとしての地位確立を目指す姿勢を明確に示している。

FRBマスターアカウントは金融機関がFedwireやFedNowなどの決済システムに直接アクセスするための口座で、仲介銀行を必要とせず即時決済が可能になる。リップルがこれを取得すれば、①直接決済の実現、②コスト削減、③効率化、④規制上の正統性獲得といったメリットが期待される。

スタンダード・カストディの買収は、ニューヨーク州金融局(NYDFS)のトラストチャーターを持つ規制対応のカストディ事業者を傘下に収めることで、規制面での足場を固める巧妙な戦略だ。Fox Businessのエレノア・テレット記者がX(旧Twitter)で報じたこの動きは、リップルが規制対応企業を拠点に伝統金融とデジタル資産経済の橋渡しを図る長期戦略を示している。

しかし申請プロセスは容易ではない。仮想通貨企業のカストディア銀行がFRBを相手取って係争中で、この訴訟結果が重要な判例となる可能性がある。リップルもマネロン対策(AML)や金融システム安定性への影響、サイバーセキュリティなど厳しい審査に直面するが、SECとの法廷闘争で培った規制対応ノウハウが強みとなる。

成功すれば、XRPを使った国際送金ソリューション「On-Demand Liquidity(ODL)」の効率化や、機関投資家の参入促進、業界全体の流動性向上など、デジタル資産業界に変革をもたらす可能性を秘めている。リップルの挑戦は単なる自社成長のためではなく、ブロックチェーン技術が既存金融インフラに統合される未来を切り開く画期的な試みといえる。
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