米司法省、トランプ関連詐欺事件でTetherの資金回収協力に謝意

公開日:2025年07月03日 20:41
閲覧数:416
米司法省は、トランプ・ベンス大統領就任委員会をかたった詐欺事件で盗まれた暗号資産40,300ドルの回収に貢献したとして、ステーブルコイン発行元のTetherに対し謝意を示した。7月2日に発表された声明によると、この詐欺事件は2024年12月に発生。詐欺師たちは委員会共同議長を装い、政治資金提供者からEthereumネットワーク上のUSDT 250,300ドルをだまし取ったとされる。

詐欺師たちは本物に似せたメールアドレスを使用し、アルファベットの「I」を小文字の「L」に置き換える手法で被害者を欺いた。資金提供者は正当な請求と信じて送金し、詐欺師たちは受け取った資金を数時間のうちに複数のウォレットを経由して移動させた。しかし当局は取引を追跡し、40,300ドルの回収に成功した。

司法省は声明で「Tetherが資産移転の実現に協力したことを認める」と明記。今回の事例は、Tetherが法執行機関と連携して不正資金を凍結・回収する実績をさらに補強するものとなった。6月には2億2,500万ドル規模の暗号資産詐欺事件の摘発支援でも同社の貢献が評価されている。

一方、競合するステーブルコイン発行元のCircleは対応を批判されている。オンチェーン調査員ZachXBTは今週、北朝鮮系ハッカーによるUSDCの悪用問題について、同社が十分な調査やウォレット凍結を行わず「見て見ぬふり」をしていると指摘した。

かつてコンプライアンス体制の不備を批判されていたTetherだが、法執行機関との連携を強化する姿勢が見られる。専門家からは「より積極的で規制順守的な経営方針への転換」との評価も出ている。
関連タグ
米司法省 Tether 暗号資産詐欺 資金回収 コンプライアンス