Robinhoodの「OpenAIトークン」問題が露呈 トークン化資産のリスクに警鐘

公開日:2025年07月03日 20:47
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仮想通貨業界で注目を集める論争が発生している。取引プラットフォーム大手のRobinhoodが欧州の消費者向けに「OpenAIトークン」を提供したところ、AI開発の雄OpenAIが強く反発し、デジタル資産市場における重要な教訓的事例となった。

■OpenAIが明確な否定表明
OpenAIはRobinhoodが販売する「OpenAIトークン」について、X(旧Twitter)の公式アカウントで「当社の株式ではなく、提携も承認もしていない」と明確に否定。自社株式の移転には明示的な承認が必要だと強調し、一般投資家に対する重要な警告を発した。この事態は、急成長するトークン化資産市場における透明性の重要性を浮き彫りにしている。

■Robinhoodの主張内容
Robinhood側はこれに対し、報道関係者向けの説明で「OpenAIトークン」が特別目的会社(SPV)を通じた間接的な投資機会だと弁明。SPVは特定の資産を保有するために作られた法人で、RobinhoodがSPVの株式を保有し、そのSPVがOpenAI株を一部保有しているという構図だ。ただし、SPVの持分価値は実際の株価から乖離する可能性があるなど、投資家には注意が必要な構造だ。

■トークン化私募の本質的課題
今回の論争は、非上場企業の株式をトークン化する際の根本的な課題を明らかにした。非上場企業は通常、株式の売買を厳密に管理しており、無断で自社株権利を謳った商品が流通することに対して強い拒否反応を示す。人型ロボット企業のFigure AIも同様の問題で証券会社に警告書を送付した実績がある。

■ブロックチェーン技術の光と影
Robinhoodの試みは、ブロックチェーン技術を使って通常は投資機会に恵まれない個人投資家にも門戸を開く画期的なものだ。ただし、技術面の革新性が認められる一方で、法的枠組みや企業の意思確認といった制度的な側面との整合性が不可欠だ。OpenAIのような主要企業が明確に否定する事例は、規制の明確化と投資家保護の重要性を改めて示唆している。

■投資家への提言
AI分野への投資を検討する場合、直接投資や確立されたベンチャーキャピタル基金が依然として最も透明性の高い選択肢と言える。「OpenAIトークン」問題は、新しい金融商品に参加する前に、その仕組みや権利内容を徹底的に精査する必要性を強く印象付ける出来事となった。投資家は常に「直接株式なのか、SPV持分なのか、それ以外の何かなのか」を明確に理解すべきだ。技術革新が加速するAI・ブロックチェーン分野では、透明性の確保が何よりも重要と言えるだろう。
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