JPモルガン、SECの革新支援姿勢を背景にカーボンクレジットのトークン化を推進

公開日:2025年07月03日 21:43
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JPモルガン・チェースは、Kinexysブロックチェーン部門を通じて、S&Pグローバルおよび環境レジストリ機関と提携し、カーボンクレジットのトークン化に向けた具体的な取り組みを開始した。この動きは、新議長ポール・アトキンス氏のもとで米国証券取引委員会(SEC)が革新的技術に対する支援的な規制姿勢へ転換する中で行われている。

■グローバルパートナーとブロックチェーン基盤の実証実験
JPモルガンのブロックチェーン部門Kinexysは、S&Pグローバル・コモデティ・インサイト、EcoRegistry、国際カーボンレジストリ(ICR)と協力し、カーボンクレジットのトークン化を目的とした新アプリケーションの試験運用を開始した。自主的なカーボン市場における断片化、不透明性、標準化の欠如といった課題に対処するため、ブロックチェーン技術による透明性と相互運用性を活用する。

JPモルガン・ペイメンツの天然資源アドバイザリー責任者アラステア・ノースウェイ氏は「トークン化は基盤インフラの信頼性を高め、グローバルな相互運用システムの発展を支援する可能性がある」と述べた。

■複雑化するカーボン市場への挑戦
カーボンクレジットは、再植林や再生可能エネルギープロジェクトなどで生成される検証済みの二酸化炭素排出削減単位だ。現在、市場ではレジストリ間の断片化やデータ形式の不統一、二重計上問題が課題となっている。Kinexysのソリューションは、発行から償却までのライフサイクル全体を安全で透明性の高いプラットフォーム上で管理する。

■SEC議長がトークン化を「推進すべき革新」と表明
一方、SECのアトキンス議長はCNBCのインタビューで、トークン化を「恐れるべきものではなく、育成すべき革新」と明言。前政権下での「執行を通じた規制」アプローチから転換し、明確なガイドライン提供によるイノベーション促進を強調した。

■伝統的金融におけるトークン化の台頭
債券や不動産などの現実資産(RWA)をブロックチェーン上で表現するトークン化は、暗号資産経済で最も急成長している分野の一つだ。世界経済フォーラムも、決済効率化やコスト削減が可能な「ブロックチェーンと伝統的金融の架け橋」としてその可能性を評価している。
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