IRSが暗号資産押収記録の不備で批判 - 問題点を解説

公開日:2025年07月04日 11:16
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米国税庁(IRS)刑事捜査部門は、押収した数十億ドル規模の暗号資産に関する適切な記録管理の欠如について、厳しい指摘を受けた。米国財務省納税管理局監察官(TIGTA)が先週公開した報告書によると、2023年後半時点でIRS刑事捜査部(IRS-CI)は未解決事件に関連する約80億ドルの暗号資産を押収していたが、必要な押収記録が不十分で、重要なデータが欠落または誤記されていたことが判明した。

特に問題とされたのは、押収メモの不備だ。この文書は暗号資産が政府管理ウォレットに移管されることを正式に記録するものだが、TIGTAの調査では、押収文書が作成されていないケースや、作成されていてもウォレットアドレスや取引金額、押収日といった重要な情報が欠落している事例が多発していた。あるケースではウォレットアドレスが誤って入れ替えられるミスも発生していた。

さらに深刻な問題として、FBIから引き継いだハードウェアウォレット3台が行方不明になった事例や、政府ウォレットのリカバリーシードフレーズがIRS職員によって破棄された事例も報告された。資金は最終的に回復したものの、このようなミスが取り返しのつかない損失を招く危険性があったと指摘されている。

IRS-CIはライトコインを押収時にビットコインに変換したことも批判を受けた。暗号資産は本来の形式で保持すべきだとして、TIGTAの2024年5月の指摘を受けてようやくガイドラインが改訂された。また、IRSの資産管理システムAFTRAKでは、押収暗号資産の43%が誤った場所にリストされており、単純な小数点ミスで約9,000ドル以上の価値誤認が生じたビットコイン押収事例もあった。

TIGTAは6つの改善勧告を提示し、IRS側はそのうち5つを受け入れ、1つは部分的な対応を約束。暗号資産押収が増加する中、IRSは管理体制の強化が急務となっている。
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