ビットコイン実勢支配率が示す弱気筋の退場と強気筋の台頭

公開日:2025年07月03日 14:40
閲覧数:351
ビットコイン(BTC)が史上最高値(ATH)に迫る水準で推移する中、暗号資産の「実勢支配率(Realized Dominance)」指標に注目すべき変化が生じている。これは短期保有者(STH)と長期保有者(LTH)の行動パターンの変化を反映したものだ。

CryptoQuantアナリストCrazzyblockkによると、BTCの実勢支配率の最新トレンドは、市場構造とセンチメントにおける重要な転換点を示している。

実勢支配率とは、STHとLTHがそれぞれ保持する「実勢時価総額(Realized Cap)」の割合を追跡する指標。LTHシェアの上昇は強い確信と供給の成熟を示し、STHシェアの減少は投機の縮小や損切りを暗示する。

最新のオンチェーンデータでは、STH実勢時価総額が約45%まで下落。これは新規購入者の活動減を意味し、市場に流入したBTCが損切りされているか、長期保有に移行している可能性を示唆している。

逆にLTH実勢時価総額は上昇傾向にあり、これは長期保有コインが利益確定されている状況——一般的に牛市終盤に見られる現象——を示している。この動きは同時に、短期投資家のコインがLTHカテゴリーに移行する「供給の成熟化」プロセスも表しており、強気派保有者の確信の強さを反映している。

アナリストは次のように指摘:「STH実勢時価総額の減少とLTH実勢時価総額の増加という乖離は、『供給移転ダイナミクス』を浮き彫りにしています。価格動向が冴えない中で新規参入者が収益化に苦戦する一方、長期参加者がネットワーク価値のシェアを拡大させている状況です。このような転換期は、通常ブル相場の反転を前兆します」

結論として、ビットコイン市場は現在「弱気筋の退場と強気筋の支配力強化」という統合局面にあると分析。この傾向が継続すれば、BTCのより強固な価格基盤が形成され、新たなATHへの道が開ける可能性があるという。

■需要減退の懸念も
一方、LTH実勢支配率の上昇とは対照的に、オンチェーン指標の一部には需要減退を示唆するシグナルも確認されている。特に「見かけ上の需要(Apparent Demand)」指標——新規買い需要がマイナーやLTHの売りを相殺できるか測る指標——が-37,000BTCまで急落しており、買い意欲の減退が懸念材料だ。

ただし、STHフロア価格(短期保有者の平均取得価格)は過去数ヶ月で着実に上昇し、現在は心理的に重要な10万ドル水準に迫っている。現時点でのBTC価格は107,796ドル(24時間+1.2%)。

(画像出典:Unsplash/チャート出典:CryptoQuant, X, TradingView.com)
関連タグ
ビットコイン 実勢支配率 短期保有者 長期保有者 オンチェーン分析