ユーロがビットコインを上回る躍進 ~マクロ経済市場の新たな潮流~

公開日:2025年07月03日 14:45
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CoinDeskマクロ経済週間コラムより。アナリストOmkar Godbole氏の市場分析を紹介する(本記事は投資助言ではありません)。驚くべきことに、歴史的にボラティリティの低い主要通貨ペアEUR/USDが、6月に4%近い上昇を見せ、ビットコイン(BTC)の2.4%上昇を凌駕しました。年初来では両資産とも13%以上の上昇と、ほぼ互角のパフォーマンスとなっています。

ADM Investor Services InternationalのMarc Ostwaldチーフエコノミストは「EUR/USDは1.22/1.23付近で抵抗線に直面する可能性がある」と指摘。ドイツが財政緊急措置(債務ブレーキ)を緩和したことで、成長ポジティブな見方が広がっていることが背景です。

注目すべきは「米国例外主義」から「ドイツ例外主義」へと経済ストーリーが転換しつつある点。ドイツは今年、GDP比1%超の防衛費を債務ブレーキ対象外とする画期的な財政計画を発表。5000億ユーロのインフラ基金を12年かけて投入するほか、州政府の年間財政赤字をGDP比0.35%まで認める内容です。

Bannockburn Capital MarketsのMarc Chandler戦略部長は「当初は米国資産への過大投資が主流だったが、現在では欧州株式、特にドイツの防衛・インフラ支出増に対応したポートフォリオ再編が進んでいる」と電子メールでコメント。

政策不確実性が高まる米国に対し、ECB(欧州中央銀行)の利下げがほぼ終了し、FRBが今後12-18か月で125bpsの利下げを行う可能性があることから、金利差拡大がユーロをさらに押し上げる要因に。加えて、欧州の年金基金が為替ヘッジ比率を61%から74%に引き上げるなど、対米ドル弱気ヘッジが加速しています。

MizhouのJordan Rochester FICC戦略部長は「デンマーク年金基金のデータを参照すると、FXヘッジ比率は過去に80%レベルに達したことがあり、さらなる上昇余地がある」とLinkedInで指摘。金融アナリストEnric A.氏も「現在20%未満の欧州機関がUSDエクスポージャーをヘッジしており、安定化のためにより多くのヘッジが求められる」と分析しています。

結論として、FRB緩和期待とヘッジ需要が米ドルに圧力をかける中、ユーロ圏の成長鈍化にもかかわらずEUR/USDは堅調な動きを維持する可能性が高いでしょう。
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